平野啓一郎の最新エッセイ集『文学は何の役に立つのか?』が7月16日(水)刊行決定。5月30日(金)より、単行本・電子版ともに予約を解禁しました!
※電子書店、一部ネット書店では7月18日(金)発売
平野啓一郎が過去7年間に書いた文学論・芸術論を収録した本作。2018年刊行の『考える葦』以来、じつに7年ぶりとなるエッセイ集です。
タイトルでもある「文学は何の役に立つのか?」という問いを中心に置きながら、さまざまな小説や映画、写真、アート作品などを幅広く論じた一冊です。
【平野啓一郎からのメッセージ】
この度、僕の過去7年間にわたる文学論、芸術論をまとめたエッセイ集『文学は何の役に立つのか?』を刊行いたします。
タイトルは、本書の冒頭に収録されている講演録から採ったもので、この問いは、僕だけでなく、文学に携わるすべての人が、耳にタコが出来るほど、浴びせられてきたものです。僕の答えは、講演中に語られていますが、同時にここに収録されたエッセイのすべてが回答になっているとも思っています。森鷗外やドストエフスキー、ハイデッガーから、遠野遥さんや金原ひとみさんまで、また、ゲルハルト・リヒターから森山大道さんや横尾忠則さんまで、幅広く論じていますが、その根本は小説家としての僕の思考です。様々な機会に依頼された原稿が大半で、基本的には、どうすればもっと文学や芸術を楽しむことが出来るのか、という視点から作品について語っています。
『本の読み方』、『小説の読み方』という本も書いていますが、その実践編として読んでもらえれば嬉しいなと思っています。文学だけでなく、読書や書店の存在意義まで問われるような世の中ですが、こんな混乱した時代にこそ、文学が、芸術が、いよいよその真価を発揮すると信じています。
この本が多くの人の手に届くことを願っています。
【目次】
Ⅰ 文学の可能性
文学は何の役に立つのか?
死までの遠近──ジョブズ、私の友人、 ハイデッガー
初めてゲラを手にした時
予測不可能な世界を生きるために──『本心』連載を終えて
AIで亡き母を蘇らせたら
また新たな基礎的教養書の登場──キャスリンペイジ・ハーデン『遺伝と平等──人生の成り行きは変えられる』
予期せぬことがなくなって──アンケート『予期せぬ笑い』
初めて真剣にワインを飲んだ日
個人と国家、そして諦念
鷗外の政治思想──『阿部一族』論
‘’納得’することの他者性──遠野遥『改良』
奇妙な一年
作家と百年──『文藝春秋』創刊百周年に寄せて
ゼロ年代のドストエフスキー
〈影響〉 の構造化と愛
三島戯曲の世界Ⅱ 小説を書き続けること
父子──古今名作散歩
体験、証言、記憶──成田龍一『「戦争体験」の戦後史』
崩れ落ちてゆくような成熟──金原ひとみ『パリの砂漠、東京の蜃気楼』
恢復と自己貸与──ハン・ガン『すべての、白いものたちの』
傷ついた人間の痛みを語り抜く意志──ハン・ガン氏のノーベル文学賞受賞に寄せて
事後的に発見され、 新たな起点となる──私と安部公房
「日本」について質問された人──追悼 ドナルド・キーン
天性の人の語り手
瀬戸内文学の再評価に向けて──追悼 瀬戸内寂聴
「踏まえるべきもの」の絶えた時代に──追悼 古井由吉
大江以降も書き続けるということ──追悼 大江健三郎
戦後民主主義と文学
『オッペンハイマー』論──オッペンハイマーとクリストファー・ノ ーランの倫理」
「国家」と「自然」Ⅲ〈過去〉は変えられないのか──芸術という試み
新しい辞書のための四つの言葉の定義──ことば、ぶんじん、カッコいい、 あい
メビウスの輪を歩く人間──写真と安部公房
二度目の『さようなら』はなかった
実在を追究しないことの自由
領域としての黒
ボードレールの女性観──その一元性と多元性
豊饒なるゲルハルト・リヒター展
愉しいル・コルビュジェ
音楽も環境次第
「手書き」の文字と毛筆
「報酬性」と「懲罰性」特別付録──弔辞
ドナルド・キーンさんへの弔辞
瀕戸内寂聴さんへの弔辞
大江健三郎さんへの弔辞あとがき
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