NHK土曜ドラマで放送中の『空白を満たしなさい』、主演・柄本佑さんと、原作者・平野啓一郎による特別対談が「ダ・ヴィンチWeb」で公開されています。
もともと喫茶店のマスターに薦められて原作を読み、共感を寄せて下さっていたという柄本さん。撮影現場で考えたこと、演技を通して実感する「分人主義」の話など、大変興味深い内容です。
僕はどちらかというと、嫌な人を書いているときのほうが、筆が乗るんですよ。嫌な気持ちにさせられるということは、その人が社会の価値観に抵触し、矛盾を突くようなふるまいをしているということ。佐伯は一方的に、徹生の根幹を否定するような言葉をぶつけ続けるけれど、本当は佐伯のほうが正しいのかもしれない、と思わされる部分もある。そういう、世の中で正しいとされているものを否定して、社会が蓋をしている問題をこじあけて問いを提示していく人物がいなければ、物語は魅力的に展開していかない。佐伯がいなければ、徹生という人物も生きてこないのだと思います。
対談より