2016年4月刊行の『マチネの終わりに』、2018年9月刊行の『ある男』に続き、愛と分人主義の物語であり、その最先端となる最新長篇『本心』 (文藝春秋社)。
早くも店頭に並べてくださっている書店さんもありますが、本日5月26日刊行です。
紙・電子書籍・オーディオブック、いずれも発売していますので、どうぞお好きな形で、平野啓一郎の2年8カ月ぶりの最新長篇『本心』をお楽しみください!
【 あらすじ 】
舞台は、「自由死」が合法化された近未来の日本。最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子は、「自由死」を望んだ母の、<本心>を探ろうとする。
母の友人だった女性、かつて交際関係のあった老作家…。それらの人たちから語られる、まったく知らなかった母のもう一つの顔。さらには、母が自分に隠していた衝撃の事実を知る── 。
[本編試し読みはこちらから]
【 著者メッセージ 】
2040年代を生きる、母を亡くした一人の青年の物語です。彼はAIによって再現された〈母〉によって、その悲しみと孤独の慰めを得ようとします。母の情報を学習したそのVF(ヴァーチャル・フィギュア)が、「自由死」を願い続けた母の「本心」を語ることを、恐れつつ期待しながら。――やがて、母の死後、初めて知ったその人間関係が、青年の心に大きな変化をもたらしてゆきます。……
未来について考えることは、気候変動や人口減少など、現代の喫緊の課題になっています。AIやロボットが普及してゆくと、一体何の職業が残るのか?
しかし、最も重要なことは、その時代の人間の「心」です。私たちは一体、何を感じ、考えながら生きてゆくのか? そして、「本心」について考えることは、社会全体について考えることに直結します。なぜなら、私たちがある社会システムを「是」とするのは、究極的には、それを「本心」から受け容れ、肯定している場合だからです。ところで、「本心」とは何なのでしょうか?
テーマは、「最愛の人の他者性」です。
『マチネの終わりに』、『ある男』に引き続き、愛と分人主義の物語であり、その最先端です。
平野啓一郎