平野啓一郎の新作小説『本心』、9月6日より新聞連載が始まります!
2009年 夏の『かたちだけの愛』、2015年 春の『マチネの終わりに』に続く、平野啓一郎、3度目の新聞連載となります。どうぞお楽しみに。
掲載紙:北海道新聞・東京新聞・中日新聞・西日本新聞
※新聞各紙での掲載の他、4日遅れで各紙無料ホームページでも読むことができます。(バックナンバー含む)
■
「――母を作ってほしいんです。」
VF(バーチャル・フィギュア)の製作を通して、
息子は死んだ母の隠された「本心」にたどりつけるのか。
そもそも人間は、「本心」を生きられるのか?
―『マチネの終わりに』『ある男』に続く、平野啓一郎の最新作。
主人公・朔也は「リアル・アバター」を職業にする29歳の青年。特殊な装置を付けて依頼者の「分身」として外出し、疑似体験を引き受けている。母子家庭で育った朔也は、半年前に事故で最愛の母を亡くした。誰からも仲の良い親子だと見られていたし、母親思いの、心の優しい青年だった。母が存在しない孤独と不安に打ちひしがれた朔也は、意を決して、母のVF(バーチャル・フィギュア)製作を企業に依頼する。
VFの製作を依頼した翌日、朔也は母のアバターとして河津七滝に出かけた日を思い起こしていた。あのとき、雄大な大滝を味わったあと、母はこう切り出したのだ。「お母さん、安楽死の手続きをして来たの。」朔也にとって半ば怒りをも感じさせる驚愕の言葉だった。なぜなのか?--対話を積み重ねても、母の願いは変わらず、朔也は母の安楽死を絶対に認めなかった。そして結局、母は朔也の出張中に、事故死してしまったのだった……。VFの製作をするための“資料“を探す中で、朔也は母の「本心」にたどりつけるのか。そもそも、人間は「本心」を生きられるのか?
AIや仮想現実が発展するなかで、人間の心や死生観にどんな変化が生まれるのか、「人間とは何か」という問いを追究する文学作品。仮想空間での「分人」という要素を加え、平野の提唱する分人主義をさらに深める。
■
(特設サイトを準備中です)