毎日新聞の記者の方が書いてくださいました。
若手世代の純文学の旗手、平野啓一郎が今年3月から、
毎日新聞の朝刊で小説「マチネの終わりに」を連載している。
毎日新聞の朝刊で小説「マチネの終わりに」を連載している。
23歳で芥川賞を受賞し、〝三島由紀夫の再来〟と騒がれた
鮮烈デビューから16年、平野さんが挑む新たなテーマは「40代をどう生きるか」だ。
鮮烈デビューから16年、平野さんが挑む新たなテーマは「40代をどう生きるか」だ。
2006年の晩秋、東京のコンサートホール。
主人公は天才的なクラシック・ギタリストの蒔野(まきの)、38歳。楽屋で40歳の洋子に出会った。
英語もフランス語も自由に操る洋子は海外通信社の記者。イラク行きを前にして美しいものに触れに来たのだ。
洋子には婚約者がいる。二人は互いに強い魅力を感じ合う。
蒔野の音楽は、実は深刻な停滞期に入りつつあった。
蒔野の音楽は、実は深刻な停滞期に入りつつあった。
洋子はイラク取材に赴き、滞在中のホテルで自爆テロが発生。ぎりぎりのタイミングで難を逃れた洋子は心に傷を負い、自宅のあるパリへ戻った。
2007年初夏、蒔野はパリを訪れて洋子と再会し、「結婚を止めに来た」と唐突に愛を告白する。洋子はいったんは即答を避けたものの….
もう若くはない。でも老いにはまだ遠い。そんな40代の入り口付近にいる二人の物語。
誰もがうらやむ才能を持ちながら芸術の道に迷う蒔野。
教養豊かで勇気もありながら、何か大切なことを決められずにいる洋子。
教養豊かで勇気もありながら、何か大切なことを決められずにいる洋子。
二人の愛はどこへ行くのだろうか。
挿画はデザイン会社「カイブツ」所属の新鋭、石井正信さんが担当。細密な水性ペンが刻む甘美さと残酷さが胸を突き、小説世界を立体的に盛り上げてくれる絵を連日見られる。