※このランキングは2019年時点の募集結果です。最新長篇『本心』は含まれていません。
第1位
マチネの終わりに
COMMENT
コメント
・教養に価値があるということを示している大人の恋愛小説だから。 ・話の内容、構造が巧みで純粋に素晴らしい物語だから。これが文学かと思った。あと、ポップも含む名曲が所々に織り込まれており、音楽好きな自分としては、とても読みやすく、親しみを感じた。と、同時に時代背景と当時の自分を思い出しながら読めたのも、他の小説では経験したことがなかった。
CHARACTER
キャラクター
蒔野と洋子
どちらも利己的な人間でなく相手への敬愛を優先できる大人の愛!
三谷早苗
咄嗟にとる行動が自分の心に誠実なところ。また、「罪の総量という考え方」にたどり着く強さに惹かれます。
QUOTE
台詞
「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」 「人に決断を促すのは、明るい未来への積極的な夢であるより、遥かにむしろ、何もしないで現状に留まり続けることの不安だった。」
第2位
ある男
・いろんな境遇の方が登場しますが、悩みながら、また、周りにいる大切な人を思いながら前進していく姿に、人間の存在意義を感じ、共感しました。 ・ストーリーの展開と登場人物の個性。美しい文章で物語に自分が引き込まれて読後には現実にもどらねばならぬのに、頭の中は「ある男」が充満してました。今までの生涯で1番何度も読み返してる本(今のところ6回)装丁に品格があります。
谷口大祐(ある男)
寡黙なイメージ、辛い生い立ちにもかかわらず、短い期間かもしれないが、愛する家族との生活、仕事に一所懸命取り組む生活が見て取れるため
里枝
人の気持ち(痛み)が解る優しさと行動力、そして正しいモラルを持ち備えた人物ではないかと思うし、人物全体が醸し出す洗練されたイマージが伺えます
「わかったってところから、また愛し直すんじゃないですか?一回、愛したら終わりじゃなくて、長い時間の間に、何度も愛し直すでしょう?色んなことが起きるから。」 「そして、原誠の夢であった「普通」であるということの意味を改めて考えた。その観念が、どれほど多くの安堵と苦しみを、人に与えてきたかを。」
第3位
決壊
・読んでいて(良い意味で)心がつぶされるような辛くなる小説ですが、同時にページをめくる手が止まらない、先を早く読みたいというこれまでにない読書体験をした本だからです。小説でこれ程までずしんと胸に迫る重さ、衝撃はこの本しかなかったです。 ・内容が内容だけに、好き、とは言い難いが、読後になぜ?という問いかけがいつまでも残る、忘れられない作品。
沢野崇
この世界の矛盾や混沌や欺瞞や希望や理想を全部引き受けてしまったような、複雑でとてもピュアな彼のことが愛おしくてたまらない。
羽田千津
他人から見ればとるにたらない、けれども彼女にとっては切実な悩みは、同じ既婚女性として痛いほどよくわかります。
「正体を見せろ、正体を!」 「殺した人間は、たとえ少数であろうと、赦し、力になろうという人たちに支えられて、これからも生き続けようとしている。それが我慢できない自分は、非人間的なのだろうか? そういう人間的な人たちは、良介の死をどう考えるのだろう? なかったことにしてしまうのだろうか?」
第4位
葬送
・ショパンもドラクロアもサンドも登場人物が皆魅力的に描かれていて、平野さんの作品を手放しで好きになった記念の作品でもあります。 ・楽曲をここまで言葉で表現できる事の驚き。文章が頭の中で音として現れて来て、最後の「六度で音の階段を上り詰めると…」の箇所ではヤコブ夢に出てくる天国への梯子のイメージが浮かんできました。この作品は3年かけて読みました。
ドラクロア
俺って天才だから、といって少し顔を赤らめてうつむく表情が好きです。ショパンへの友情、愛人そして画家の友人への思い遣りが細やか。
フォルジェ男爵夫人
ドラクロワという自分の天才を持て余している人間への憧れ、嫉妬、愛人として愛されていないのでは?という苦悩、さらに時代の停滞感の中の憂鬱、そういう様々なことに対して真摯に乗り越えていく姿が印象的で大好きです。
「芸術が偉大であるのは、凡そ技術上の知識を持たぬ人間が、最も技術的な工夫によって感動を与えられることである。(中略)鑑賞者には、分析より先に必ず驚嘆がある筈である。寧ろ感想とは、その驚嘆を語ることではあるまいか?」 「彼はーーフレデリック・ショパンは、天才の名に真に相応しい、この時代を生きる数少ない芸術家です。しかもまるで凡人のように苦悩する天才です。そして、しばしば凡人とは、まるで天才のように苦悩することを知らない人達でしょう。」
第5位
私とは何か「個人」から「分人」へ
・大切な人間を亡くしたとき、職場の人間関係に最も悩んでいたとき。なぜ苦しいのか、苦しんでいいのか。一条の光のように、「分人」という考え方がすっと心に届き、生まれ変わったと思うほど心が楽になった作品だからです。 ・自分を肯定してもいい、根拠を示され、生きることの支えとなってくれた ・長い間人間関係に苦労していましたが、それで良いんだと思わせてくれた大事なきっかけです。 ・西洋における「個人」という考え方を脱構築する視点であるから。
第6位
空白を満たしなさい
・この作品を通して初めて分人主義という考え方を知り、衝撃をうけました。さらに、自殺は生きたいという意志であるとの小説のメッセージに、傷ついた過去の自分から今の自分までまるごと救われたような気になったからです。 ・分人という考えが理解出来た作品。仕事人間だった夫の当時の状況を思い出し、生き抜いてくれたことに感謝。 ・哀しくて切なくて、そしてやっぱり生きていかなければならないという励まし。・大切な人間を亡くしたとき、職場の人間関係に最も悩んでいたとき。なぜ苦しいのか、苦しんでいいのか。一条の光のように、「分人」という考え方がすっと心に届き、生まれ変わったと思うほど心が楽になった作品だからです。
第7位
日蝕
・初読時はあまり理解できなかったが、読む力が鍛えられた数年後の復読時に理解できた時の衝撃が忘れられないから。掲載時に限らず、今の時代に読んでも文体と主題が普遍的であり新しい、美しくもあり切ない、などという矛盾をそのまま保ちながら描かれている点。 ・読解力乏しい自分には意味や漢字が解らない箇所も少なくありませんが、文章や言葉から溢れ出るリズムが絶妙で、まるで現代音楽のパーカッションの曲の中に引き込まれる様に何度も拝読しました。こんな衝撃的な文章は他にはありません。
第8位
ドーン
・この作品で分人の概念に出会い、自分の今までのモヤモヤが晴れました。またどんな人生も素晴らしいと思わせてくれ、最後は飛行機の中で読んでいたのに泣いてしまいました。 ・この本との分人は私の中でしっかり残っていて、このあとの人生を支えてくれると思います。 ・SF、サスペンス、エンタメ、哲学、ストーリーテリング、読後感と全ての要素が備わっているから。 ・分人主義とSFの要素が嫌味なく、美しく組み合わさっていると思います。
第9位
かたちだけの愛
・初めて読んだ平野さんの作品で、のめり込むきっかけになった。 ・登場人物がそれぞれ「個人」として存在していて現実感があり、1人の人間から生み出された複数の人間という印象を受けなかった。 ・主人公のクリエイターとしての思考に共感を覚えて興奮したり、情報量の多さに圧倒されたり。1冊を通して、目が話せなかった。普段の読書が、ショートケーキの1ピースなら、この作品は、羊羹1棹に値する。読了後は感情が溢れてきて何も考えられなくなった。
第10位
透明な迷宮
・自分自身の存在の危うさ、迷宮に迷い込む感覚が好き ・どの短編もとても不思議な美しさに溢れていて、それぞれ個性的な作品ばかりなのに、なぜかひと言「現代の神話」という言葉でまとめたくなってしまう稀有な短編集だと思います。
CONTENTS
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第1位
マチネの終わりに
第1位
マチネの終わりに
COMMENT
コメント
・教養に価値があるということを示している大人の恋愛小説だから。
・話の内容、構造が巧みで純粋に素晴らしい物語だから。これが文学かと思った。あと、ポップも含む名曲が所々に織り込まれており、音楽好きな自分としては、とても読みやすく、親しみを感じた。と、同時に時代背景と当時の自分を思い出しながら読めたのも、他の小説では経験したことがなかった。
CHARACTER
キャラクター
蒔野と洋子
どちらも利己的な人間でなく相手への敬愛を優先できる大人の愛!
三谷早苗
咄嗟にとる行動が自分の心に誠実なところ。また、「罪の総量という考え方」にたどり着く強さに惹かれます。
QUOTE
台詞
「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」
「人に決断を促すのは、明るい未来への積極的な夢であるより、遥かにむしろ、何もしないで現状に留まり続けることの不安だった。」
第2位
ある男
第2位
ある男
COMMENT
コメント
・いろんな境遇の方が登場しますが、悩みながら、また、周りにいる大切な人を思いながら前進していく姿に、人間の存在意義を感じ、共感しました。
・ストーリーの展開と登場人物の個性。美しい文章で物語に自分が引き込まれて読後には現実にもどらねばならぬのに、頭の中は「ある男」が充満してました。今までの生涯で1番何度も読み返してる本(今のところ6回)装丁に品格があります。
CHARACTER
キャラクター
谷口大祐(ある男)
寡黙なイメージ、辛い生い立ちにもかかわらず、短い期間かもしれないが、愛する家族との生活、仕事に一所懸命取り組む生活が見て取れるため
里枝
人の気持ち(痛み)が解る優しさと行動力、そして正しいモラルを持ち備えた人物ではないかと思うし、人物全体が醸し出す洗練されたイマージが伺えます
QUOTE
台詞
「わかったってところから、また愛し直すんじゃないですか?一回、愛したら終わりじゃなくて、長い時間の間に、何度も愛し直すでしょう?色んなことが起きるから。」
「そして、原誠の夢であった「普通」であるということの意味を改めて考えた。その観念が、どれほど多くの安堵と苦しみを、人に与えてきたかを。」
第3位
決壊
第3位
決壊
COMMENT
コメント
・読んでいて(良い意味で)心がつぶされるような辛くなる小説ですが、同時にページをめくる手が止まらない、先を早く読みたいというこれまでにない読書体験をした本だからです。小説でこれ程までずしんと胸に迫る重さ、衝撃はこの本しかなかったです。
・内容が内容だけに、好き、とは言い難いが、読後になぜ?という問いかけがいつまでも残る、忘れられない作品。
CHARACTER
キャラクター
沢野崇
この世界の矛盾や混沌や欺瞞や希望や理想を全部引き受けてしまったような、複雑でとてもピュアな彼のことが愛おしくてたまらない。
羽田千津
他人から見ればとるにたらない、けれども彼女にとっては切実な悩みは、同じ既婚女性として痛いほどよくわかります。
QUOTE
台詞
「正体を見せろ、正体を!」
「殺した人間は、たとえ少数であろうと、赦し、力になろうという人たちに支えられて、これからも生き続けようとしている。それが我慢できない自分は、非人間的なのだろうか? そういう人間的な人たちは、良介の死をどう考えるのだろう? なかったことにしてしまうのだろうか?」
第4位
葬送
第4位
葬送
COMMENT
コメント
・ショパンもドラクロアもサンドも登場人物が皆魅力的に描かれていて、平野さんの作品を手放しで好きになった記念の作品でもあります。
・楽曲をここまで言葉で表現できる事の驚き。文章が頭の中で音として現れて来て、最後の「六度で音の階段を上り詰めると…」の箇所ではヤコブ夢に出てくる天国への梯子のイメージが浮かんできました。この作品は3年かけて読みました。
CHARACTER
キャラクター
ドラクロア
俺って天才だから、といって少し顔を赤らめてうつむく表情が好きです。ショパンへの友情、愛人そして画家の友人への思い遣りが細やか。
フォルジェ男爵夫人
ドラクロワという自分の天才を持て余している人間への憧れ、嫉妬、愛人として愛されていないのでは?という苦悩、さらに時代の停滞感の中の憂鬱、そういう様々なことに対して真摯に乗り越えていく姿が印象的で大好きです。
QUOTE
台詞
「芸術が偉大であるのは、凡そ技術上の知識を持たぬ人間が、最も技術的な工夫によって感動を与えられることである。(中略)鑑賞者には、分析より先に必ず驚嘆がある筈である。寧ろ感想とは、その驚嘆を語ることではあるまいか?」
「彼はーーフレデリック・ショパンは、天才の名に真に相応しい、この時代を生きる数少ない芸術家です。しかもまるで凡人のように苦悩する天才です。そして、しばしば凡人とは、まるで天才のように苦悩することを知らない人達でしょう。」
第5位
私とは何か「個人」から「分人」へ
第5位
私とは何か「個人」から「分人」へ
COMMENT
コメント
・大切な人間を亡くしたとき、職場の人間関係に最も悩んでいたとき。なぜ苦しいのか、苦しんでいいのか。一条の光のように、「分人」という考え方がすっと心に届き、生まれ変わったと思うほど心が楽になった作品だからです。
・自分を肯定してもいい、根拠を示され、生きることの支えとなってくれた
・長い間人間関係に苦労していましたが、それで良いんだと思わせてくれた大事なきっかけです。
・西洋における「個人」という考え方を脱構築する視点であるから。
第6位
空白を満たしなさい
第6位
空白を満たしなさい
COMMENT
コメント
・この作品を通して初めて分人主義という考え方を知り、衝撃をうけました。さらに、自殺は生きたいという意志であるとの小説のメッセージに、傷ついた過去の自分から今の自分までまるごと救われたような気になったからです。
・分人という考えが理解出来た作品。仕事人間だった夫の当時の状況を思い出し、生き抜いてくれたことに感謝。
・哀しくて切なくて、そしてやっぱり生きていかなければならないという励まし。・大切な人間を亡くしたとき、職場の人間関係に最も悩んでいたとき。なぜ苦しいのか、苦しんでいいのか。一条の光のように、「分人」という考え方がすっと心に届き、生まれ変わったと思うほど心が楽になった作品だからです。
第7位
日蝕
第7位
日蝕
COMMENT
コメント
・初読時はあまり理解できなかったが、読む力が鍛えられた数年後の復読時に理解できた時の衝撃が忘れられないから。掲載時に限らず、今の時代に読んでも文体と主題が普遍的であり新しい、美しくもあり切ない、などという矛盾をそのまま保ちながら描かれている点。
・読解力乏しい自分には意味や漢字が解らない箇所も少なくありませんが、文章や言葉から溢れ出るリズムが絶妙で、まるで現代音楽のパーカッションの曲の中に引き込まれる様に何度も拝読しました。こんな衝撃的な文章は他にはありません。
第8位
ドーン
第8位
ドーン
COMMENT
コメント
・この作品で分人の概念に出会い、自分の今までのモヤモヤが晴れました。またどんな人生も素晴らしいと思わせてくれ、最後は飛行機の中で読んでいたのに泣いてしまいました。
・この本との分人は私の中でしっかり残っていて、このあとの人生を支えてくれると思います。
・SF、サスペンス、エンタメ、哲学、ストーリーテリング、読後感と全ての要素が備わっているから。
・分人主義とSFの要素が嫌味なく、美しく組み合わさっていると思います。
第9位
かたちだけの愛
第9位
かたちだけの愛
COMMENT
コメント
・初めて読んだ平野さんの作品で、のめり込むきっかけになった。
・登場人物がそれぞれ「個人」として存在していて現実感があり、1人の人間から生み出された複数の人間という印象を受けなかった。
・主人公のクリエイターとしての思考に共感を覚えて興奮したり、情報量の多さに圧倒されたり。1冊を通して、目が話せなかった。普段の読書が、ショートケーキの1ピースなら、この作品は、羊羹1棹に値する。読了後は感情が溢れてきて何も考えられなくなった。
第10位
透明な迷宮
第10位
透明な迷宮
COMMENT
コメント
・自分自身の存在の危うさ、迷宮に迷い込む感覚が好き
・どの短編もとても不思議な美しさに溢れていて、それぞれ個性的な作品ばかりなのに、なぜかひと言「現代の神話」という言葉でまとめたくなってしまう稀有な短編集だと思います。